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2026.09.17

【浜松市】親の施設入居で実家はどうする|空き家相続の基本と対策

【浜松市】親の施設入居で実家はどうする|空き家相続の基本と対策

親の施設入居が決まり、ひとまず胸をなでおろす。その一方で、誰も住まなくなる実家をどうするか、答えの出ないまま時間だけが過ぎていく。あららぎ不動産株式会社には、浜松市でそうした宙ぶらりんの状態を抱えた方からのご相談が数多く寄せられます。

売る・貸すといった最終判断を今すぐ出す必要はないものの、「何も決めない期間」が長引くほど選べる道は確実に狭くなります。家は人が住まなくなった瞬間から傷み始め、親の判断能力や税制の適用期限といった、こちらの都合では動かせない条件が並行して進むからです。実際、施設入居から5年、10年と経って相談に来られたケースでは、長期間空き家だったことで建物の傷みが進み、売却前に追加の修繕や解体を検討せざるを得なかったり、名義人である親との意思疎通が難しくなっていたりと、打てる手が限られる場面に何度も立ち会ってきました。

この記事では、実家を空き家のまま放置したときのリスク、相続を見据えて知っておきたい前提、将来に向けた4つの選択肢、浜松市で使える支援制度を整理します。

親が施設に入居後、実家を「とりあえず空き家」にするリスク

空き家を「とりあえずそのまま」にする判断には、目に見えないコストが伴います。建物の価値が下がり、税や維持費の支払いだけが続き、状態次第では行政指導の対象にもなり得るからです。何もしていないつもりでも、資産は静かに目減りしていきます。

誰も住まない家は急速に老朽化が進む

人の出入りがなくなった家は、住んでいた頃よりも早く傷みます。原因の一つが、換気不足です。窓が閉め切られたままだと湿気が抜けず、床下や壁の内側から腐朽が進行します。給排水管の封水が蒸発して悪臭や害虫の侵入経路になることもあり、庭木が数か月のうちに隣地へ枝を伸ばしてしまうこともあります。

定期的な換気や通水、清掃、庭木の剪定、建物の点検を続けることで、劣化や周辺への悪影響は抑えやすくなります。適切な頻度や方法は建物の状態や立地によって変わるため、国土交通省が公開している空き家管理のチェックリストなども参考になります。

固定資産税や維持管理費が継続的に発生する

誰も住んでいなくても、所有している限り費用は出ていきます。主な内訳は次のとおりです。

※表は左右にスクロールして確認することができます。

費目 内容 発生の目安
固定資産税 毎年1月1日時点の土地・家屋の所有者に課税される 年4回に分けて納付
都市計画税 浜松市では市街化区域内の土地・家屋が課税対象 固定資産税と合算した通知書で納付
火災保険料 空き家は住宅物件として扱われず割高になる場合がある 年払い・長期一括など
光熱費・水道基本料 換気や清掃のために契約を残すケースが多い 毎月
管理の手間・交通費 通いで管理する場合の実費と時間 訪問のたび

遠方にお住まいの場合、この「通う負担」が最も重くのしかかります。年に数回の帰省が管理作業で終わり、次第に足が遠のく。結果として傷みが加速する流れは、実務でよく見る典型例です。

「特定空家」に指定されると税金負担が大幅に増える恐れがある

管理が行き届かない状態が続くと、税負担が跳ね上がる可能性があります。令和5年12月に施行された改正空家法により、倒壊などの危険がある「特定空家」に加え、放置すればそのおそれがある「管理不全空家」も行政の指導・勧告の対象となりました。勧告を受けると、住宅が建つ土地の固定資産税を軽減する住宅用地特例(小規模住宅用地は課税標準が6分の1)が適用されなくなります。

建物を残しているのに軽減だけが外れる、最も避けたい状態です。ただし、いきなり勧告が行われるわけではありません。管理不全空家等ではまず指導、特定空家等では助言または指導が行われ、その後、改善されない場合に勧告へ進みます。

✓ポイント

押さえておきたいのは、リスクの大半が「管理されていないこと」から生じている点です。庭木を刈り、郵便物を片づけ、風を通す。こうした最低限の管理を続けることは、管理不全空家等と判断されるリスクを抑えるうえで重要になります。売るか持ち続けるかの結論を出せていない段階でも、管理体制を先に整えることが、将来の選択肢を守ります。

出典:空き家をお持ちの方へ(管理不全空家・特定空家と税)|国土交通省/空き家の適切な管理|国土交通省/都市計画税とは|浜松市

実家が空き家になる前に知っておきたい相続の基本

実家の問題は、突き詰めると「誰が、いつ、どういう権利で決められるのか」という話に行き着きます。親が元気なうちと判断能力が低下した後、相続の前と後では、動かせる範囲がまったく違ってくるためです。

親の認知機能が低下すると実家の処分が難しくなる

親名義の実家を売却するかどうかを決めるのは、原則として所有者である親本人です。親に十分な判断能力があれば、委任を受けた子などが代理人として手続きを進めることもできます。逆にいえば、本人の意思能力が失われた後は、子であっても自由に売却できるわけではありません。

その場合に取り得る手段が成年後見制度です。ただし、成年後見人等が本人の居住用不動産を売却するには、原則として家庭裁判所の許可が必要になります。施設入所前に住んでいた家も居住用不動産に含まれるため、必要書類の準備や裁判所での審理が加わり、本人が判断能力を有する場合に比べて手続きは増えます。

相続人が複数いる場合は権利関係の整理が必要になる

相続人が複数いる場合、遺言などで取得者が決まっていなければ、遺産分割が終わるまで実家は共同相続人の共有状態となります。共有状態の不動産を全体として売却するには、原則として共有者全員の同意が必要です。相続人の誰かが先に亡くなると、その配偶者や子へ権利が細分化し、話し合いの相手はさらに増えます。遺産分割を先送りにするほど、権利関係は複雑になっていきます。

加えて令和6年4月から相続登記が義務化され、不動産を相続で取得したと知った日から3年以内の申請が必要になりました。正当な理由なく怠れば10万円以下の過料の対象です。施行日より前に開始した相続も対象で、原則として令和9年3月31日までに申請が必要です。ただし、不動産を相続で取得したことを知った日が令和6年4月1日以降の場合は、その日から3年以内となります。

✓ポイント

親の施設入居は、権利関係を整理する好機でもあります。実家の名義が祖父母のままだったケースは珍しくありません。登記簿を取り寄せて現在の名義を確認し、相続人になる可能性のある人を洗い出す。この二つを済ませるだけで、いざというときの手戻りが大きく減ります。

出典:相続登記の申請義務化について|法務省/成年被後見人(被保佐人、被補助人)の居住用不動産の処分についての許可|裁判所

浜松市の実家はどうする?将来に向けた4つの選択肢

実家の行き先は、大きく4つに分かれます。どれが正解かは建物の状態と家族の意向、立地で決まるため、まずは全体像を並べて比べるのが近道です。

※表は左右にスクロールして確認することができます。

選択肢 向いているケース 主な注意点
管理・維持 将来住む予定や利用計画がある 維持費と管理の手間が続く
賃貸 建物の状態が良く、需要のある立地 修繕費の先行投資、税の特例が使えなくなる場合がある
売却 早期に負担を解消したい 相場と時期の見極めが必要
解体・更地化 建物の価値がほとんど残っていない 解体費の負担、土地の税負担が上がる

将来住む予定があるなら「適正に管理・維持する」

子世帯が将来戻る可能性がある場合は、状態を保ちながら判断を待つ選択も合理的です。要点は、管理を「気が向いたとき」ではなく仕組みにすること。月1回の換気と通水、年2回の剪定、雨樋と屋根の点検を年間予定に組み込めば、劣化の進行はかなり抑えられます。遠方にお住まいなら、空き家管理サービスの利用も現実的です。

資産として活かすなら「賃貸として貸し出す」

立地と建物の状態が良ければ、貸すことで維持費を賄える可能性があります。ただし、築年数の経った戸建てをそのまま貸せる例は多くなく、水回りの更新や内装の補修にまとまった初期投資が必要になるのが実情です。

もう一つ、見落とされがちな注意点があります。将来、相続後に後述の「空き家の3,000万円特別控除」を使う可能性があるなら、貸し出す前に税制上の要件を確認しておく必要があります。老人ホーム等に入所したケースでこの特例を利用する場合、一定の要件のもとで、親が実家を離れてから相続開始の直前まで貸付けや事業、他人の居住の用に供されていないことが求められるためです。相続後についても、譲渡の時まで原則として事業・貸付け・居住の用に供していないことが条件になります。

維持費の負担をなくすなら「思い切って売却する」

管理の負担も将来の争いの種も、売却すれば一度に解消できます。現金化できれば分割も容易で、きょうだい間の話し合いはまとまりやすくなります。

税制面の後押しもあります。相続した空き家を売る場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があり、適用期限は令和9年12月31日までです。要件は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、売却代金が1億円以下であること、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることなど。令和6年1月以降の譲渡では、家屋と敷地を取得した相続人が3人以上の場合、控除額は2,000万円となります。

親が老人ホーム等に入所していた場合でも、要介護認定等を受けているなど一定の要件を満たせば対象になり得ます。施設入居で「相続開始の直前に住んでいなかった」状態でも、道が閉ざされるわけではありません。

土地だけを活用・売却するなら「解体して更地にする」

建物に価値が残っておらず、むしろ買い手の負担になっている場合は、解体して土地として扱う判断もあります。更地なら用途の幅が広がり、買主も資金計画を立てやすい。一方で、解体費は木造戸建てでも百万円単位になります。加えて固定資産税は毎年1月1日時点の利用状況で判定されるため、解体して翌年1月1日時点に住宅の敷地でなくなっていれば、原則として住宅用地特例は適用されず、土地の税負担が増える可能性があります。売却の見通しが立たないまま先に壊すのは避け、解体は「売る」と決めてから、時期を計算して実行するのが原則です。

✓ポイント

4つの選択肢は並列ではなく、判断には順番があります。まず建物に賃貸や居住に耐える価値が残っているかを見極め、次に家族の中に使う意思があるかを確認し、どちらも当てはまらなければ売却を軸に検討する。この順で考えると、迷いは整理されやすくなります。

出典:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁/No.3307 被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋|国税庁/固定資産税、都市計画税の「Q&A」303|浜松市

浜松市ならではの空き家対策と支援制度

浜松市には、空き家の流通や除却を後押しする制度が用意されています。使えるかどうかは条件次第ですが、知らずに全額自己負担で進めてしまうのは避けたいところです。

浜松市空き家バンク制度の仕組みと活用メリット

浜松市空き家バンクは、不動産関係事業者から登録の申し出があった市内の一戸建て空き家の売却情報を、市のホームページで紹介する制度です。令和2年度に開設され、登録には次のような条件があります。

  • 浜松市内に所在する一戸建てで、登録時点に居住者がいないこと
  • 売却物件であること(賃貸物件は対象外)
  • 宅建業者が所有している、または専任媒介契約・専属専任媒介契約を締結していること

所有者が直接申し込む形式ではないため、取引を依頼する不動産会社に相談することが実際の入口になります。なお浜松市には、これとは別に移住・定住を目的とした「浜松市中山間地域空き家バンク」も設けられています。

条件次第で利用できる解体・改修関連の補助金制度

浜松市には「浜松市空き家解体補助金(空家等除却促進事業費補助金)」があります。補助額は解体費用の3分の1で、上限は50万円。ただし要件は細かく、主なものだけでも次のとおりです。

  • 昭和56年5月31日以前に建築済み、または建築確認済みであること
  • 相続人または受遺者が所有者・共有者として登記されていること
  • 令和4年12月31日以前に相続または遺贈が発生していること
  • 全日本不動産協会静岡県本部により取引(売却)不可能と判断される物件であること
  • 申請日から過去1年間空き家であること、共有者全員の同意があること

令和8年度は事前相談が必須で、受付は令和8年4月20日から12月25日まで、申請は先着順(定員20名)です。

注意したいのは、この補助金が「相続がすでに発生し、売却も難しい老朽住宅」を対象としている点です。親が施設に入居した段階では要件を満たしません。将来の制度として頭の片隅に置きつつ、今は売却可能な状態を保つほうが、結果的に手元に残る金額は大きくなります。

✓ポイント

補助制度は年度ごとに内容や受付期間が変わり、予算枠に達すれば締め切られます。使えそうだと感じた時点で市の担当課に問い合わせ、必要書類と締切を確認しておくのが確実です。制度を待って動くのではなく、動きながら制度を確認する姿勢が現実的といえます。

出典:浜松市空き家解体補助金(浜松市空家等除却促進事業費補助金)|浜松市/浜松市空き家バンク|浜松市

実家問題で後悔しないために今すぐ家族でできること

大がかりな決断は要りません。今できるのは、情報を集めて家族で共有しておくこと。この準備の有無が、数年後の選択肢の幅を決めます。

親が元気なうちに将来の希望を話し合っておく

実家の話は切り出しにくいものですが、売却の是非をいきなり問う必要はありません。「この家、これからどうしていきたい?」という問いかけで十分です。親の希望を一度でも言葉で聞いておけば、判断を迫られたときにきょうだい間で意見が割れにくくなります。浜松市が公開している「住まいのエンディングノート」を、話のきっかけに使う方法もあります。

実家の名義人や住宅ローンの残債など現状を把握する

感情の話とは別に、事実の確認も進めます。確認したい項目は次のとおりです。

  • 登記簿上の名義人(共有の場合は持分割合も)
  • 住宅ローンの残債と抵当権の有無
  • 建築年(昭和56年5月31日以前かどうか)
  • 境界標の有無と隣地との取り決め
  • 固定資産税の課税明細書

このうち建築年は、税の特例や補助金の可否を分ける情報です。名義人や持分、抵当権、建築年などは登記事項証明書等から確認できます。住宅ローンの残債は金融機関、境界標については現地や測量資料などで別途確認しておきましょう。

漠然とした不安があれば地元の専門家へ気軽に相談してみる

売る決心がつかない段階でも、相談してかまいません。むしろ方針が固まる前に資産価値と選択肢を把握したほうが、判断の精度は上がります。浜松市では宅建士による定例の空き家相談会や、専門家によるワンストップ相談会も開かれています。

✓ポイント

相談の目的は「決めること」ではなく「材料をそろえること」です。今売るならいくらか、貸せる状態か、解体費はどの程度か。この3つが数字で見えるだけで、家族の話し合いは驚くほど具体的になります。

まとめ

親の施設入居をきっかけに空き家となる実家は、放置した年数の分だけ選択肢が減っていきます。老朽化の進行、維持費の継続、勧告による税負担の増加、親の判断能力や特例の適用期限。いずれもこちらの都合を待ってはくれません。

一方で、今日から着手できることは多くありません。最低限の管理体制を整え、名義と建築年を確認し、家族で一度話しておく。この3つを済ませておけば、売る・貸す・持ち続けるのどの道を選ぶにしても、条件の良い状態から検討を始められます。

浜松市で実家の将来に不安を抱えている方は、あららぎ不動産株式会社へお気軽にご相談ください。売却をお決めになっていない段階でのご相談も歓迎しております。地域の相場と過去の事例を踏まえ、ご家族にとって無理のない道筋を一緒に探します。

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